ねこと暮らし(仮)

ねこのこと日常のこと

茶トラのチャット

 

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彼とは某公園で遭遇しました。それは少し小雨が降る肌寒い日のことでした。

 

休日に何気なく散歩をしていると大きな公園の入り口に彼はぽつんと立っていました。彼が立っていた場所を通った時には気が付きませんでしたが、私達がポケモンをしながら佇んでいると公園に入ってきた男性の後ろをとことこと付いて歩くように現れたのです。

少し遠くからその光景を観察していると、どうやら前を歩く男性は後ろの茶トラの猫の存在に全く気が付いていない様子でした。男性を追いかけるのをやめて立ち止まった彼とぱちりと目が合うと彼は迷わずこちらに向かって歩いてきました。

はじめは気のせいかな?とも思いましたがだんだん近付いてくる彼に驚きつつ、十数メートルの距離をあっという間に縮めた彼はこちらに向かって「ニャー」と小さく鳴きました。

少しだけ警戒していたもののこちらが軽く屈むと近付いてきて足元に纏わりつき何度も頭突きをしながら体の周りを周りました。

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(体の匂いを付けてまわるかのように入念に頭や体をぶつけてくる茶トラ(笑))

 

相当人に慣れている様子で初めましてでここまで外の子と接近できることに驚きっぱなしでした。

連れが彼のお尻をポンポンするとそんなんじゃ足りないと言うように膝によじ登り、そこからまだまだいけるとばかりに肩まで登っていきました。それはまるでエベレストを目指す登山家のようでした。

とても愛らしく会って間もないのに一瞬で魅了されるもご飯もおやつも持っていないしもちろん外の子に餌付けなど出来るわけもなく

「ごめんね。何にも持ってないの。何も出来なくてごめんね。」と謝って膝から下ろしました。

 

またねと声をかけて公園散策を再開しようとすると初めて見かけた時のように私たちの後ろをとことこと付けてきたのです。まさにストーカー猫(笑)

情けはかけちゃいけない。振り向いたらいけない。と言い聞かせて振り向かずに歩き進めるといつのまにか後ろに彼はおらず、だいぶ離れてから見てみると彼はまた公園の入り口で誰かを待つように佇んでいました。

 

降ったり止んだりを繰り返す小雨を疎ましく思いながら歩いている最中も気になるのは茶トラの彼のことでした。だだっ広い公園の中で他にも色んな猫たちと遭遇しました。でもどの猫たちも私たち人間ときちんと一定の距離を保ち足早に立ち去るか草むらに隠れて出てくることはありませんでした。

公園内を何周かしてそろそろ帰ろうと来た道を戻ると、彼はまたそこに立っていました。木の下で雨宿りをしていた彼は私たちを見ると近づいてきました。

 

「うちで飼うか。」「飼っちゃう?」なんて言葉を交わすものの、あまり現実味がなくてすぐに決断して連れて帰られない私は無力だと痛感しました。

ごめんね。元気でね。と別れの挨拶をして離れると今度は後ろを付いて歩いてくることもなく雨宿りが出来るところを探して小走りで去って行きました。

 

帰りの道中もどうしても彼のことが気になるし、夕飯のお好み焼きが鉄板の上で焼き上がるのを待つ間も携帯でひたすら[猫 保護の仕方]と調べてしまうし茶トラの彼のことで頭がいっぱいでした。

そして相方も同じ気持ちだったのか「うちで保護して里親探すか。」とまさかの言葉を口にしたのです。それはいつもの冗談を言うような口調ではなく本心だとわかり、どうしよう私たちに出来るかなと頭でぐるぐる考えつつも口から出た答えはイエスでした。

 

保護を決意した主な要因としては、茶トラの彼が縄張りにしていたポジションが交通量の多い大通りに面している出入り口付近だったこと。いつ飛び出して事故に遭ってもおかしくない場所でした。

あれだけ人に慣れている子だと少なからず虐待犯などの一番の標的になりそうだったこともあります。近隣で虐待被害の噂と警告のポスターを複数見かけました。

 

こうやって理由をいくつか並べたところで初めて会ったその時からもう彼の虜だったのかもしれません。

 

 

あんなにウダウダ悩んでいたのに腹を括って保護を決めるとそこからは早かったです。

あそこまで人に慣れているということは元々飼い猫だったのでしょう。首輪はしておらずそこの公園で朝晩と餌やりの方々から食事を貰っているようでした。

保護すると意気込んで公園に向かうもそう簡単には会えるわけもなく、(まあそうだよな。日を改めるか。)と思っていたところにあっさり現れてベンチに座る私の膝に登ってきた茶トラの猫。

君はどこからともなく現れていつも私の心を攫っていくね。

 

今度こそうちにおいで。暖かい部屋でお腹いっぱいご飯を食べたりするのはどう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「里親探そう。」と言っていた相方が茶トラがうちに来てから数日経たずに「茶トラにもしも持病があっても先住猫と相性が悪くてもこのまま別室で飼えばいいか。」なんて言い出したのはもう少し先のお話。

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※迷い猫の可能性ももちろん高いと思いましたので各SNS掲示板など様々な媒体で捜索しました。警察にも届出は出てませんでした。